グッピーには付き物といわれるウォータースプライトですが、古くからお持ちの方は「何を今さら」と思われる事でありましょうが、現実この丈夫と言われ続けられてきた水草?が実は最近水中化しなくなってしまった、
どうして、われわれ人間はいちいちよけいな事をするのか。
実際市場で、ウォータースプライトを水中葉でを扱っているところは少なくほとんどが半水中葉か水上葉の状態で水中化しない、また水の妖精の森を取り戻すことができるのが、というお話です。
随分まえから、お客様に
「よく写真にあるようにウォータースプライトの林をグッピーが泳ぐ姿をゆめみて、いくら購入しても丈夫とは聞いてたのだが育った試しがないのだが」
こんな話を結構いただいておりました。
緒先輩方の書籍を読ませていただきましても、やはりグッピーにはスプライトと書かれておりますし。
実際、私の学生の頃にはウォータースプライトは増えすぎて捨てるしかないほど現在のように水草を育てる設備は何も無い当時の環境で育っていたものです。
私のところもごたぶんにもれず、ウォータースプライトは新しく紹介される水草たちに埋もれ忘れ去られていた存在でした。
しかし、グッピーたちが主役になるにつれやはりウォータースプライトということになり、「こんなものは投げておけば育つのヨ」てなわけでやってみると、これがいくら仕入れてどうひねりましても育たない、まったく水中では育たない・・・・・・・・・。
これではと考え水草をお願いしている平出園芸の平出氏に仕入れをしたウォータースプライトをそっくりあずけ一定期間水上葉で栽培していただき、そして水中へ・・・・。
確か記憶が正しければ4〜5回お願いしたのですが、水上葉ではまったく問題なくスクスクと育つのに水中では・・・・・・・・まったく育たない。
あっという間に解けるようになくなってしまう、「なんなんだこれは・・・・・・」
「なるほどこうゆうことか」
と納得いたしました、これはいったいどうしたことなのでありましょうか?

■どんどん小眼から浮き葉を作っていく
原因はこんな所にありました、水草は自然界での自生条件と異なった環境で10年以上栽培されるとその水草自体の生育条件が変化してしまうのだそうです。
よく初版の発行の古いHow to本を読むと、同じ水草でも現在の水草とは説明されている育成条件が異なって紹介されている例が多いのもここら辺にあるのです。
今お話しているウォータースプライトはその最たる一品種なのです。
長い年月丈夫な水草ということで生産量を上げるなめ、水上葉で量産栽培を重ねた結果、ついに彼らウォータースプライトは水中生活を忘れてしまったわけです。
単なる丘のシダになり水の妖精では無くなってしまった、これが原因だったわけです。
さすがに現実に気づいた時にはあわてました、これではくら仕入れたところでムダという訳ですから。
まさか天然ものを採取できるあてもありませんし、こうなれば昔のままウォータースプライトを水槽で栽培している所から分けていただくしか方法がないという事になります、昔のままのウォータースプライトを探せ!であります。
それから、お付き合いの方々をあたり「ウォータースプライトを」とお聞きしても当時はさすがに通常は処分していたものでありましから残念ながら大事に保存されている方はおられませんでした。
それが昨年ですか、お付き合いのはじまったお客様と得意の?長電話をしていた時でありました、ひょんな話から「ウォータースプライトですか、昨日掃除して捨てたところですヨ」
「えぇ〜!いま水中葉のウォータースプライトは貴重品ですヨ、今のは水中葉にならないんですヨ・・・・・・」
それこそ、ご本人にしてみましたら「えぇ〜」だったようです。
無理を?いって早速ゆずっていただきました、ありがとうございました。

■これは水中葉とはいはない、水上の湿度の高い環境で作る半水中葉
こうした話がひとつ出るとまた、幸いにも続くものでもうひとかた水中葉のウォータースプライトをいただけるチヤンスにめぐりあえました。
この話はまたまた面白いお話なのですが、いただいておきながらケンカを討っている訳ではありませんので良しなに。
元は随分高価だっあのだそうで、名前も“イタリアンスプライト”というのだったそうです。
さすがに聞いた事のない品種名であります、かなり大きな株をお譲りいただきまして感謝感謝でありました。
品種名の違いもありましたので別に水槽を作り栽培をはじめました。
これがまた栽培するうちに、随分と面白いことがわかってきました。
基本的に同じウォータースプライトでありながらかなり適正生育条件が異なってるのです、先に来たタイプは確かにきれいな水中葉をつけるのですが、低光量では成長の速度はまるでミクロソリューム並でした。
有る意味で扱いやすいのではありますが、なんとも生産しがたいのであります、60cm水槽に明る20W蛍光灯2灯ぐらいないと昔のようにはなかなか・・・・・・・・・。
かなり良い環境(今様の高光量・高肥料・高CO2)で育成されていたように見えました。
まあ、私のところが暗過ぎるのは事実でありますが。
後からいただきましたタイプはとにかく浮き葉を作りたがり、かなり肥料それも硝酸性チッソではなくアンモニア性チッソを欲しがるタイプということが判ってきました。
つまり十分な水換えと高濃度の質の良い液肥を欲しがるということなのです。
しかし、成長は早く、条件をそろえてやるといくらでも伸びる、だが手がかかるタイプでした。
このように同じウォータースプライトでありながら育成されてきた環境でやはり育成条件が異なってくる証明のようなはなしでありました、ここらへ辺は面白いところであります。
なにはともかく両タイプともにきれいに水中葉を作り大変に感謝いたしております。
■これがスプライトの水上葉、水中葉とは似ても似つかない
ここ1〜2年両タイプともにある程度低光量で育成を続け、有る意味いじめる事で昔に近いタイプに戻すよう努力をしてきました。
現在の所ほぼ光量に付きましては、昔の感覚で栽培できますし育成する水質におきましても、弱酸から弱アルカリまで間場広く育成に問題ありませんが、どうしても液肥だけは欲しがるようです。
昔から丈夫と言われてきた水草はだいたいが、チッソ分を硝酸性チッソから吸収する事が得意な品種でした、古くは水換えといえば盆暮れみたいな感覚で飼育がされており、いわゆる古い水、硝酸性チッソが多い条件で生育できる水草が主体であったためです。
いわゆる栽培が難しいと言われる水草は硝酸性チッソからチッソ分を吸収するのが苦手なタイプが多いので、このこのごろは、頻繁な水換えが普通になりアンモニア性チッソからチッソ分を吸収させる環境になっているため長期の育成で変化が起こってきたと考えられます。
元来ウォータースプライトもそうした古い品種のひとつであったとおもうのですが、この部分は今様になったタイプと言えるでしょう。
とにかく、またウォータースプライトの森が見られるようになったことはすばらしいことです。
現在やっと昔のタイプに近いものをコンスタントに供給できる状態になりまして、好評いただいている水中葉ウォータースプライトです、が。
「もっと大きいサイズは無いのか?」
というお問い合わせをいただくのですが、ウォータースプライトを水中葉にした場合かなり葉がやわらかいため飼育水に浮かべてお送りいたしましても、ダメージがおおきく、サイズの大きなものはなかなか良い状態でお届けするのが難しいというのが事実で申しわけありません。
すぐにに大きく育ってきますのでじっくりと行きましょう。
このように水草ひとつにしても、ムチュャな増殖を繰り返すと今まで楽しめたものも消えていってします、大事にしていきたいという教訓でもあります。
いかがでしたでしょうか?
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